東京地方裁判所 昭和44年(借チ)1001号 決定
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〔決定理由〕三 附随処分
1 借地期間
本件借地契約の期間については、契約の成立した昭和二五年一〇月一七日から申立人は期間の定めがないから三〇年であると主張し、相手方は二〇年の約定ありと主張するが、取調べた資料によれば、これを二〇年とする約定があつたものと推認するのが相当である。したがつて約定期間は昭和四五年一〇月一七日までと認められる。ところで本件増改築は、現存建物の一部をとりこわしてこれを増改築するに過ぎないがとりこわし部分は昭和二六年頃建築された現存建物中最も古い部分であり、その余の部分はその後昭和四一年頃までの間に三回位にわたり順次増築された比較的新しい部分であると認められる。したがつて本件増改築により、本件借地上の建物は全体として比較的新しいものになると認められるので、借地法第七条の趣旨に鑑み、借地期間を本件増改築後約二〇年となるように、前記約定期間を一九年延長し、昭和六四年一〇月一七日までに変更することとする。
2 賃料
賃料は現在申立人から一カ月二、二二〇円として提供されているが、相手方が昭和三九年一〇月に増額を請求し、申立人がこれに応じなかつた時以降争いを生じており現在も相手方は申立人提供の賃料を内金として受領する旨表明していることが認められ、かつ、この点については当事者双方とも鑑定委員会の意見に格別の異論がないと認められるので、その意見のとおり、本裁判確定の月の翌月から一カ月金三、三〇〇円(鑑定委員会は一平方米あたり二〇円、一坪あたり六六円とし借地面積を本件申立書に約一七〇平方米と記載されているのによつて計算するので、三、四〇〇円とするが、当裁判所は契約面積五〇坪によつて計算するのを相当と認めるので三、三〇〇円となる。)と定めることとする。
3 財産上の給付
鑑定委員会は本件借地の更地価格を三、三平方米あたり二〇万二、〇〇〇円、借地権価格をその約六二%にあたる一二万五、〇〇〇円と評定し、最近東京都内において慣行化しつつあるといわれる民間の取引事例を参考として、借地権価格の一〇%にあたる六四万二、六〇〇円を本件増改築許可に伴う財産上の給付額として借地人から地主に対して支払わせることを相当としている。当裁判所は、右鑑定委員会の意見、これに対する当事者双方の意見、および当裁判所の従前の裁判例を参酌し、他に考慮すべき特別の事情の認められない(前期三回位にわたる増築の際も金銭授受はなかつたと認められる。)本件においては、借地期間を二〇年延長する場合について、更地価格の五%程度の金額を借地人から地主に対して支払わせることが利益の衡平を図るため相当と考える。そこで本件においては前記のとおり借地期間を一九年延長することとするので、鑑定委員会の意見による更地価格の五%に二〇分の一九を乗じた金四八万円をもつて財産上の給付額と定める。()
(白石悦穂)
現存建物および増改築の内容
一、現存建物
木造セメント瓦亜鉛メッキ鋼板交葺二階建工場、居宅
床面積 一階 104.08平方米
二階 42.98平方米
附属木造スレート葺平家建便所床面積3.31平方米
二、増改築の内容
右現存建物のうち住居部分約二二平方米をとりこわし、新たに木造二階建住居、一、二階とも約二二平方米を建築する。